バイバイストライク。
☆ちいたん:小3自閉症スペクトラム男子
通常学級で学んでいます。
☆ ぼん :小6兄
数日前に、初めてつかまえた、ちいたんの大好きなカマキリ。
ちいたんが絵を描くといつも登場するカマキリなのですが、見つけたのは初めてで、うれしそうに大切に家に連れて帰ってきました。
ちいたんが「ストライク」と名前を付けました。
パンやハムを食べると聞いて、朝あげたり、学校から帰ってきたら霧吹きで湿り気を与えたりしながら大切に飼っていました。
でも・・うちに来てから、ごはんを全く食べていないことが私はとても心配でした。
パンやハムで餌の代用になるとは聞いたのですが、カマキリは動くものにしか興味を示さないという・・生きてるバッタやコオロギなど・・それは無理です。
「このままだと死んでしまうかもしれないから、日曜日に自然に戻してあげよう。」とちいたんに相談しました。
涙が止まりません。
ちいたんにとっては、「友だち」のような存在なのでしょう。
ちいたんにはまだ、仲良しの友だちはいませんので、いつもそばにいてくれるストライクはとても大切な存在なのだと思います。
いつまでも一緒にいられたら私もいつまでも一緒にいさせてあげたいのですが、やはり。
これまでも、昆虫をつかまえてきても長く生きられなかったことを話して、「死んでしまったらもっともっと悲しい気持ちになる。」ということを伝えて、日曜日になりました。
またストライクに会えるのかをちいたんはしきりに気にしていたので、近くの公園で草木が茂る場所に逃がすことにしました。
そして、お別れの時が来ました。
嗚咽するほどの大号泣です。
自閉症スペクトラムの特性であるこだわり。
ストライクは僕と一緒にいるんだという強い思い。
ずっと変わらず一緒にいなければならないというちいたんの思い。
(1年生の時に、友だちだと思っていた子に、からかわれたり蹴られたりした後でも、それでも「あの子は友だちだから遊ぶんだ。」といつまでも執着していたちいたんを思い出します。相手が自分をいじめていることは直視できず、そんなことよりも、ちいたんにとってはとにかくその子と遊ぶという「変わらないこと」がとても大切なのです。)
これまでだったら。
ちいたんの思いが強すぎる今回のような時は、ちいたん自身で折り合いが付けられないことが多く、最終的には強制的に大人が舵を切ることも多かったのですが。
今回は、「ごはんが食べられないと死んでしまうかもしれない。」というストライクの状況に、ちいたんはちゃんと思いを寄せることができました。
自分の思いだけで突き進まず、前向きにストライクのことを考えて進むことができました。
泣くのをやめて枝を集めるその姿に、成長を感じました。
「バイバイ。」
ちいたんは、ストライクにさよならができました。
すごく、がんばりました。